DC電源コネクターの選択方法
新規設計の初期段階が終了したら、一刻も早くプロジェクトを完了させたいと誰もが思うことでしょう。しかし、低電圧DC入力電源コネクターの選択など、いくつかの作業が残っています。適切なDC電源コネクターを指定することは複雑な作業ではなく、すばやく簡単に完了することができます。これらのコネクターは安価で容易に入手できるため、より一般に使用されるモデルの1つを選択することが、多くの場合電源接続にとって最良の選択となります。
低電圧DC電源コネクター
バレル・コネクターとも呼ばれる低電圧直流電源コネクターは、製造業者によって指定された電流定格および電圧定格の両方を有しています。これらの定格は、電力供給のアプリケーションでこれらのコネクターを使用する際の信頼性を保証するものです。バレル・コネクターのジャックおよびプラグはどちらも1つの露出した導体と第2の埋め込み型導体を特徴としています。埋め込み型の第2の導体の利点は、2つの導体間でショートしてしまう可能性が下がることです。さらに、バレル・コネクターは多くの場合電子機器の電力供給に使用されるため、電源コネクターを不正なレセプタクルに差し込むことで精密部品が損傷することはほとんどありません。
DC電源アプリケーションのジャック、プラグ、およびレセプタクル
バレル電源コネクターの定義には絶対的な基準はありませんが、エレクトロニクス業界は、ジャック、プラグ、およびレセプタクルという用語の使用が一般的になっています。ジャックは通常、電力を受け取り、家電内のPCB浄化やシャーシ内で設置することができます。プラグは、ほとんどの場合、電気コードに取り付けられており電源から電力を供給します。レセプタクルもまた、電源コードに取り付けられており、相手方のプラグから電力を受け取ります。
DC電源コネクターの性別定義
ジャック、プラグ、レセプタクルの定義に比べると、DC電源コネクターの性別の定義はまだ標準化されていません。業界の一部ではコネクターについて議論する際にメスとオスで記述するのを避けることがありますが、RFコネクター業界の慣習に従う多くのエンジニアは、バレル電源コネクターの性別を定義するためのセンターピン構成を受け入れています。センターピンのコネクターはオス、受け入れコネクターはメスとして受け入れられています。ユーザーは、標準化されたジャックとプラグの組み合わせがあることに注意してください。センターピンの一部はジャックにあり、他はプラグに取り付けられています。
バレル・コネクター寸法の理解
バレル・コネクターを規定する一般的な規格は、インナーピンおよびアウター・スリーブの直径です。インナー・ピンとアウター・スリーブの共通の直径が下の表に示されています。
インナー・ピンの直径(mm) | アウター・スリーブの直径(mm) | |
---|---|---|
0.50 | 2.35 | |
0.65 | 3.20 | |
0.80 | 3.30 | |
1.00 | 3.50 | |
1.30 | 4.00 | |
1.65 | 4.30 | |
2.00 | 4.75 | |
2.34 | 5.50 | |
2.50 | ||
3.00 |
インナー・スリーブの直径(インナー・ピンとの界面)は、嵌合ピンの直径より若干大きくすべきですが、製造業者は共通クリアランスを標準化していません。アウター・スリーブへの一般的な嵌合接続は、片持ちの板ばねです。したがって、アウター・スリーブと相手側コネクターとの間のクリアランスは、コネクターが適切に機能するためにはそれほど重要ではありません。
DC電源コネクターで指定される第3の寸法は、挿入深度です。ジャックの挿入深度の寸法は、しばしばプラグのバレルの長さよりも短い場合があります。 これは2つの理由から説明することができます。最初に、プラグバレルは、コネクターが嵌合するときに受け入れジャックで完全に囲まれる必要はありません。したがって、ジャックの挿入深度よりも長いプラグバレルの長さを受けいれることができます。次に、取り付けよっては、シャーシ壁の深さを考慮する必要があります。コネクターがかみ合うとき、その追加の深さはプラグバレルの長さに考慮する必要があります。
DC電源コネクターのコンダクター
標準的なDCバレル・プラグまたはジャックには、電源と接地用にそれぞれ2つの導体があります。コンベンションは、センターピンが電力で、アウター・スリーブが接地されていますが、接続を反転させることが許容されます。一部の電源ジャックモデルは、アウター・スリーブのコンダクターとのスイッチを形成する第3の導体が含まれます。スイッチ機能の1つの用途は、プラグの挿入を検出または指示することです。その他の用途として、プラグがジャックに挿入されているか否かに応じて電源を選択することができます。
バレルコネクター取り付け様式
設計者は、コネクターピンとスリーブの寸法を選択し、DC電源コネクターの実装スタイルも指定する必要があります。パネルマウントコネクターは、製品シャーシのほぼどこにでも実装することができますが、関連する回路に接続するための配線が必要です。PCBマウントのコネクターは、水平および垂直の機械的方向で使用でき、電気的な接続はサーフェイスマウント(SMT)またはスルーホールでおこなうことができます。SMT信号接続を装備した多くのジャックにはスルーホール・ピンまたはタブが付いているため、ジャックの実装安定性を向上させることに注意してください。タブはPCBに半田付けされたスルーホールになりまが、ジャックに電気的に接続される、またはされない場合があります。通常は、実装安定化ピンは非導通であり、PCBの穴に締り嵌めされていますが、一部の水平のジャックは、ジャックが置かれているPCBから開口部を引き出す必要があります。PCBの厚さ内にジャックを実装すると、PCBの上にあるジャックの物理的な高さを最小限に抑えることができます。
電源アプリケーションでのオーディオ・コネクターの使用
電流と電圧を伝達することは可能ですが、一般的なオーディオコネクター(チップ、リング、スリーブ)を使用することは、電源アプリケーションでは推奨できません。まず最初の懸念は、すべてのメーカーが必要な電圧および電流能力向けにこの形式のコネクターを指定しているわけではありません。次に、コネクターのプラグ(オス)の半分がしばしば電源に接続されることが挙げられます。このプラグは、すべての導体が露出しているため、2つ以上のコンダクター間に誤って短絡が発生しやすくなります。第三の理由は、誤ってオーディオ入力回路に電源を接続してセンシティブな部品を損傷する可能性を防ぐために、電源にオーディオ・コネクターを使用しないことです。
電力用途でのUSBコネクタの使用
USBコネクタは、データ転送と給電機能の両方を備えていることで知られ、設計エンジニアに最も広く認められ、採用されているコネクタの1つです。ただし、USB Type C規格が導入されるまでは、USBコネクタの最大電力定格はある程度限られていました。
USB Type Cは、4つの電力接点と4つの接地接点を持ち、最大5Aの高い電力定格、最大48Vの高い電圧を有し、最大240Wの給電が可能です。アクセス性、幅広い普及、シンプルな設計統合により、USB Type Cコネクタは、給電用途のオプションとしても注目を集めましたが、そのハイスペックな高速データ転送は充電 / 給電が唯一の機能となる場合はコスト高になることがあります。そのため、データ転送ピンを除去し、給電専用設計のユーザーにも費用対効果の高いソリューションを提供する給電専用USB Type Cコネクタが新たなトレンドとなっています。詳細については、当社の電力アプリケーションのUSB Type-Cに関するブログ記事をお読みください。
最終的な考察
低電圧DC電源コネクターの選択プロセスは迅速かつ簡単でなければなりません。設計エンジニアは、設計の物理的な要件に応じて、多様なDC電源ジャックの実装スタイルを選択できます。選択したプラグとジャックの機械的な適合性を保証するために、ピンとバレルの直径とバレルの長さを指定するときは注意をしてください。