ターミナルブロックの選択に関する究極のガイド

Ryan Smoot/著

ターミナルブロックの選択に関する究極のガイド

ターミナルブロックとは

ターミナルブロックは、2本以上のワイヤーを一緒に固定する絶縁された本体を持つモジュール型ハウジングから構成されます。ターミナルブロック(ターミナルコネクタ、接続端子、あるいはネジ端子とも呼ばれています)は、電気システムを安全に接続しなければならないさまざまなアプリケーションで使用されています。このターミナルブロックは、セキュアで良好に調整された、半永久的なワイヤー接続が必要とされる設計に最適で、検査時には簡単に交換したり、現場で修理することもできます。

ターミナルブロックの種類

設計で使用できるターミナルブロックの種類は様々です。以下は最も一般的なターミナルブロックの例です。

PCBマウント

Eurostyle、またはワイヤー・ツー・ボード型のターミナルブロックとしても知られているPCB設置型ターミナルブロックは、クランプでワイヤーをハウジングに固定するモジュールにベアワイヤーを挿入して使用します。次に、このハウジングを共通のフットプリントのPCBにはんだ付けします。PCB設置型ターミナルブロックでは、シングル、デュアル、マルチレベル型のモジュールが可能です。

バリアストリップ

このターミナルブロックには、リングやスペード端子がワイヤーに付いており、その後それをネジに挿入して締めてハウジングに固定する、ねじ込み型ターミナルが付いています。バリアストリップは一般的に、振動が懸念される場合に使用されます。

フィードスルー/DINレール

フィードスルー型ターミナルブロックは、ワイヤー・ツー・ワイヤー接続に 2 本のワイヤーを接続するために使用されます。このターミナルブロックのタイプは、入力が1つ、出力が1つあり、2本の別々のワイヤーをハウジングのそれぞれの側から挿入します。PCB接地型バージョンと同様、シングル、デュアル、またはマルチレベルのモジュールが可能です。このフィードスルースタイルは、DINレール取付の構成で最も一般的に見られます。 DINレールのターミナルブロックは、通常、ワイヤー間接続または接地タイプ用のフィードスルースタイルとして提供されます。これは、見た目にはフィードスルースタイルと同じですが、入力ワイヤーを接続するのではなく、ワイヤーをDINレールやパネルに接地します。

PCBマウント、バリアストリップ、DINレールのターミナルブロックのイメージ例
一般的なターミナルブロックのタイプ

ターミナルブロックに関する電気的に考慮すべき重要項目

ターミナルブロックを使用するシステムを設計する場合、おそらくシステムの全体的な電圧要件と電流要件を知ることになるでしょう。これらは非常に重要ですが、以下に詳細が示されているようなその他の懸念すべき要因もあります。

電流定格

電流定格は、ターミナルブロック設計で検討すべき最も重要なパラメータとなることが多いです。電流適格は、ターミナルの伝導率、横断面の領域、それに対応する熱上昇に基づいています。高すぎる電流での動作は、ターミナルブロックの過熱や損傷を引き起こす可能性があり、これは深刻な安全面での懸念につながります。システムで予想される最大電流の、少なくとも150%の定格でターミナルブロックを使用することが最良とされています。

定格電圧

電圧定格は、ターミナルブロックのハウジングの誘電体強度とピッチによって一部決定されます。そのアプリケーションでの最大システム電圧は、電圧定格よりも低くする必要があります。ターミナルブロックを選択する場合は、システム内の電圧サージも評価する必要があります。

ポール数

ターミナルブロック内の個々の回路の数は、極数とも呼ばれています。これは、特定のアプリケーションで必要な個々の回路数に基づいて、単極から、最高で24極まで可能です。

ピッチ

ターミナルブロックのピッチは、ある極から次の極までの中心距離として定義されています。コネクタのピッチは、電圧/電流、表面漏れ、間隔などの要因が懸念されるターミナルブロックの全体的な定格によって決定されることが多いです。業界での一般的なピッチは、2.54mm、3.81mm、5.0mm、および7.62mmなどがありますが、これに限定はされません。

ワイヤーのサイズ/種類

ターミナルブロックが受け入れることができるワイヤーの最小および最大サイズは、電圧/電流定格の関数になります。使用するワイヤーがターミナルブロックに物理的に適合することを確認するだけでなく、ワイヤーの種類も考慮する必要があります。標準またはマルチコアワイヤーは通常ネジ端子に使用され、シングルコアは通常、プッシュイン型のターミナルブロックに使用されます。北米型のワイヤーサイズは、アメリカのワイヤーゲージ(AWG)単位で指定されます。ワイヤーサイズはmm2で指定することもできます。

ターミナルブロックに関する機械的に考慮すべき重要項目

システムの電気的な要因に加え、機械的な制限や限界もターミナルブロック設計において考慮される必要があります。考慮すべき主な機能は、全体的なフットプリント、方向、接続のアクセス性に影響を与える可能性がある設計のハウジングでの機械的な制限です。ハウジングへの機械的なバリエーションには、次のようなものがありますが、これらに限定されません。

ワイヤーの入力方向

ターミナルブロックには、次の3つの共通した方向があります。水平、垂直、45°水平方向と垂直方向は、それぞれ90°と180°として知られています。ワイヤーの方向は、設計全体の物理的な制限によって決まることが多く、これがどのオプションが最適であるかの判断材料となります。

水平(90°)、垂直(180°)、45°のターミナルブロック方向
水平(90°)、垂直(180°)、45°の方向

ワイヤーの固定方法

ターミナルブロックのハウジング内にワイヤーを固定する方法は、通常次の主な3つの種類によって達成されます。ネジ端子プッシュボタン、あるいはプッシュインがありますが、これに限定されません。

  • ネジ端子
    ネジ端子またはネジタイプのターミナルブロックは、ネジを締めることによってクランプを閉じて、ターミナルブロックの導体に対してワイヤーを固定します。
  • プッシュボタン
    プッシュボタン型ターミナルブロックは、ボタンを押すと開くスプリング式クランプで、ワイヤーを導体に固定します。ボタンを放すと、スプリングをワイヤにクランプします。
  • プッシュイン
    プッシュイン型ターミナルブロックは、スプリングクランプ付きのプッシュボタンと類似していますが、プッシュボタンでスプリングを開くことはせずに、ハウジングに直接ワイヤを押しつけます。
ネジ端子、プッシュボタン、プッシュインの各ターミナルブロックスタイルの比較
ネジ端子、プッシュボタン、プッシュインの各ターミナルブロックスタイル

モジュールの種類

ターミナルブロックのモジュールは、互いにインターロックされているピースから構成されているものと、単一ハウジング内に構成されているものがあります。インターロックされたターミナルブロックのモジュールは通常、2極と3極のバージョンで構成されています。これらの2つのサイズで、設計者はモジュールを一緒にカチッとはめ込むだけで、必要とされる極数を達成することができます。DINレールのターミナルブロックは、金属レール上で個々のユニットを一緒にスライドさせることで、ほぼ同様に動作します。望ましい構成と極数が決まったら、適合するエンドキャップ仕上げをおこない、外側ユニット上のハウジングを保護します。

一体構造型のターミナルブロックは、すべての極が単一ハウジング内に含まれる形で構成されています。これは、複数のピースを持たせることができないプラグ可能なハウジングでは標準的に使用されています。その他の用途には、単一ハウジングの方が強度が強い、高電流または高温バージョンがあります。

インターロックおよび一体構造型ターミナルブロックの比較
インターロックおよび一体構造型ターミナルブロック

ワイヤー・ツー・ハウジング方式

大多数のターミナルブロックのコネクタは、ハウジング内に直接ワイヤーを挿入しますが、接続可能な嵌合ペアを利用するバリエーションもあります。このプラグ可能型ターミナルブロックもハウジング内にワイヤーは挿入しますが、PCB上の固定ハウジングに直接差し込むことができるモジュール型のハウジングを使うことで追加的なメリットを得られます。これにより、頻繁にメインコネクタを抜く必要がある場合でも個々のすべてのワイヤーを抜く必要がなくなり、設計を簡素化できます。

プラグ可能型ターミナルブロックのプラグコンポーネントとレセプタクルコンポーネント
プラグ接続とレセプタクル接続を使用するプラグ可能型ターミナルブロック

安全性定格

ターミナルブロックは通常、ULやIECの安全基準に認定済みおよび/または合わせて設計されており、UL94V-0の印加性定格に適合した材料を使って構成されています。UL定格とIEC定格は両方とも、異なる数値でデータシート上に表示されます。これは、代理店によって、ターミナルブロックが満たすべき異なる基準や要件を使用するためです。ターミナルブロックを選択する場合は、自分が使うシステム全体の安全要件を把握し、ターミナルブロックの定格がそれらに準拠していることを確認してください。

その他の設計に関する考慮すべき項目

ユーザーがアセンブリやメンテナンスを簡単におこなえるように、ハウジングの色や特殊なマーキングを変更して、さまざまなターミナルブロック接続を差別化することができます。これは、集中型施設に収納された複数のワイヤーや回路を利用するより複雑なシステムに対しては特に有用です。

エンドシステムの動作温度についても、高温定格ターミナルブロックが必要かどうかを検討する必要があります。

結論

システム全体を設計する際に考慮すべき要因は数多くありますが、ターミナルブロックは複雑な電気システムの接続には最適なソリューションです。Same Skyのターミナルブロックは、色や構成のバリエーションがあり、お客様の設計上の課題に対応すべく幅広いオプションを提供します。

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Ryan Smoot

Ryan Smoot

アプリケーションエンジニア

Ryan SmootはSame Sky製品に関する幅広い知識を持っており、多岐にわたる分野の技術サポートとアプリケーションサポートを提供しています。彼が管理するSame Skyの堅牢なCADモデルライブラリは、エンジニアにとって製品設計の合理化に役立つ極めて有益なリソースを提供しています。Ryanは、プライベートな時間ではランニングや、アウトドア、妻や生まれたばかりの子供と一緒に過ごす時間を楽しんでいます。