アナログかデジタルか:正しいMEMSマイクロフォン・インターフェースの選び方
MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)マイクロフォンは、高度な通信・監視機能を様々なデバイスへ追加するチャンスを拡大してきました。現在人気がある家庭用デジタル・アシスタントと音声起動型ナビゲーション・デバイスは、音声制御型電子機器の飛躍的な成長を促進する単なる2つの例に過ぎません。MEMS技術がマイクロフォン市場を独占しつつある今、ここで利用可能なMEMSマイクロフォンの電気インターフェースの種類と、それらの使用方法について考察してみたいと思います。
MEMSマイクロフォンの背景
MEMSマイクロフォンは通常、単一パッケージに2つの半導体チップを配置した構造になっています。1つ目の半導体チップは音波を電気信号に変換するMEMS膜で、2つ目のチップはアナログ-デジタル変換器(ADC)が含まれることもあるアンプです。MEMSマイクロフォンにADCが含まれていない場合、ユーザーはアナログ出力信号を利用でき、ADCが含まれる場合はデジタル出力信号を利用できます。
アナログMEMSマイクロフォン・インターフェース
アナログ出力のMEMSマイクロフォンでは、下図に示すとおりホスト回路への直接的なインターフェースを利用できます。マイクロフォンのアナログ出力信号は、アンプによって内部からマイクロフォンへと駆動されるという特性があります。従って、これは既にかなり低い出力インピーダンスを持った妥当な信号レベルになっています。
DCブロッキング・コンデンサ(C1)が採用されているため、ホスト回路のDC入力電圧をMEMSマイクロフォンのDC出力電圧と一致させる必要はありません。C1とR1の組み合わせによって生成される極周波数は、希望する音声周波数信号が許容レベルの減衰量でホスト回路へと通過するように、十分に低く設定する必要があります。[つまり、20 Hzの最低音声周波数範囲; 1/(2*π*R1*C1) < 20 Hz]
デジタルMEMSマイクロフォンのインターフェース
デジタルインターフェースを備えたMEMSマイクロフォンからの出力信号は、しばしばパルス密度変調(PDM)またはI²Sでエンコードされています。PDMでエンコードされた場合、アナログ信号電圧は対応するロジックハイの信号密度を含む、単一ビットのデジタル・ストリームに変換されます。PDMのメリットには、電気ノイズ耐性、ビットエラー耐性、およびシンプルなハードウェア・インタフェースなどがあります。
下図は、PDM出力を備えた単一デジタル・マイクロフォンのホスト回路への接続方法を示しています。この「選択」ピンを図の中のVDDまたはGNDのいずれかと結び、データがクロック信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジでアサートされるかを決定します。
以下の図は、2つのマイクロフォンが共有クロックとデータラインを使用して、ホスト回路に接続する方法を示しています。この構成は、ステレオ・マイクロフォンを実装する場合によく使用されます。
PDM出力と同様のシステムメリットを提供するI²S出力MEMSマイクロフォンは、マイクロフォンが簡単にインタフェースおよび処理されるように標準的なオーディオサンプルレートを生成するための内蔵型デシメーションフィルタを備えています。このデシメーションは内部で発生するため、デジタルI²S MEMSマイクロフォンはデジタル信号プロセッサ(DSP)またはその他のコントローラに直接接続でき、ADCまたはコーデックが出力されたデータを処理する必要がなくなります。これにより、システム設計コストが削減され、最終的なアプリケーションでスペースの節約が可能になります。上記の図に示すデジタルPDM MEMSマイクロフォンと同様に、2つのデジタルI²S MEMSマイクロフォンを共通データラインを使って接続することもできますが、1つのワードクロックとビットクロックの代わりに2つのクロック信号が必要です。MEMSマイクロフォンのデジタル出力の詳細については、ブログ記事PDMとI2Sの比較:MEMSマイクロフォンのデジタルインターフェースの比較をご覧ください。
アナログまたはデジタル出力の選択
アナログ出力信号、またはデジタル出力信号のどちらを備えたMEMSマイクロフォンを導入するかの決定は、通常出力信号の使用用途によります。出力信号がホストシステム内でアナログ処理用にアンプ入力へと接続される場合は、アナログ出力信号が便利です。従来のアナログ・アプリケーションの例としては、シンプルな拡声器や無線通信システムです。アナログ出力のMEMSマイクロフォンは、ADCがないためデジタル出力のマイクロフォンよりも電力消費が少なくなる傾向があります。
MEMSマイクロフォンからのデジタル出力信号は、信号がデジタル回路、通常はマイクロコントローラやデジタル信号プロセッサー(DSP)へと印加された場合にメリットがあります。また、マイクロフォンとホスト回路との間のコンダクタが電気的ノイズの多い環境にある場合、デジタル出力信号は従来のアナログ信号よりも優れた電気ノイズ耐性を持つことから、デジタル出力信号の方がより優れたチョイスです。
結論
MEMSマイクロフォン技術はこのまま変化しないため、様々な構成オプションのうち、どれを利用すべきかを理解することは非常に重要です。アナログ出力かデジタル出力を選択する場合、その決定は、出力信号がどのように使用されるか、どのシステムで実行されるかにかかっています。幸いSame Skyでは、お客様独自の設計要件に対応できるよう、アナログおよびデジタル出力両方を備えた様々なMEMSマイクロフォンを提供しています。