DIPスイッチ101
DIPスイッチは、1970年代から、ユーザーが電子回路を手動で変更できる電気機械デバイスとして使用されてきています。DIPスイッチのそのシンプルさ、柔軟性、低コスト性によって、いくつもの電気アプリケーションで長年の使用を保証しています。これには、様々なサイズ、構成、スイッチングメカニズム、および定格電力があります。
顧客は自分のアプリケーションの設定オプションに基づいて、DIPスイッチ上のポジション数を選択できます。DIPスイッチには、手動で作動できるものもあれば、スイッチのポジションを切り替えるために特殊なツールまたはドライバを必要とするものもあります。
DIPスイッチとは?また、どのように機能しますか?
DIPスイッチは、デュアル・インライン・パッケージ・スイッチです。つまり、1つのユニットには一連のスイッチがあります。これは、異なる電子回路を作動または差動解除するためにユーザーがアクチュエータを手動で動かすことが必要な電気機械デバイスです。一般的にPCBまたはブレッドボードに取り付けられているDIPスイッチでは、ユーザーがさまざまな設定や動作モード間で電子デバイスをすばやく事前設定したり切り替えたりできます。
スイッチに関して言うと、ポールとスローの原則を考慮しなければなりません。単極、単投(SPST)スイッチとは、クローズ状態だと電流が流れ、オープン状態だと電流が遮断される電子回路内に位置するデバイスのことです。
単極、双投(SPDT)スイッチは、電流を流すのに2つの異なるパスから選択します。言い換えれば、アクチュエータを動かしても、電流は遮断されず、代わりに、別の回路分岐へと方向転換させます。
双極、双投(DPDT)スイッチは、リンクされた2つのスイッチを使用して2つの回路を制御します。1つのスイッチがポジションを切り替えると、もう一方のスイッチも同じ動作をします。それぞれ、回路内の異なる経路に電流を方向転換させす。技術的には、このような配置で複数のスイッチを接続して、複数のポールと複数のスローが可能です。
パッケージ内のスイッチの数は、アプリケーションによって異なり、1~16程度のポジションがあります。一般的なDIPスイッチのパッケージは、1バイトのデータに相当する256バイナリコードに対応する、8つのポジションがあります。スイッチ機能および一般的なスイッチタイプの詳細については、当社の「スイッチの基礎」ブログをご覧ください。
DIPスイッチの種類
DIPスイッチには、スライド・アクチュエータ、ピアノ・アクチュエータ、ロータリー・アクチュエータなど、さまざまなタイプがあります。
スライドDIPスイッチは、標準の切り替えスイッチです。各スイッチには、クローズまたはオープン(オン/オフまたは1/0も)の2つのポジションがあり、SPSTスイッチとして動作します。また、3ポジションのスライドDIPスイッチもあり、中央がニュートラル位置、各端は接点で、通常はオン/オフ/オンとして構成されています。任意のDIPスイッチでは、ノーマル・オープン(NO)またはノーマル・クローズ(NC)として構成できます。ノーマル・オープン・スイッチは作動時に回路に電流が流れ、ノーマル・クローズ・スイッチは作動時に回路が遮断されます。
ピアノDIPスイッチは、スライドDIPスイッチに類似しています。しかし、水平に配置されているのではなく、前後方向の動きでアクチュエータを動かすピアノのDIPスイッチは垂直に配置されているため、上下のアクションが必要です。
ロータリーDIPスイッチは、ユーザーがアクチュエータを円を描くように回転させることでポジションを切り替えます。回転の量によって、スイッチの出力が決定します。4つの出力ピンを持つロータリーDIPスイッチは、バイナリコードで最大で16の異なる出力構成を生成できます。また、このスイッチはSPDTデバイスとして動作するようにも構成可能で、1つの極に対して3つまたは4つのスローを持つことができます。
16ポジションのロータリーDIPスイッチは、16シンボルの16進数コードを使用して、出力の組み合わせを表します。次の図に示すように、この16進数コードは0~9の数字、その後はA~Fの文字を使用します。
その他のタイプのDIPスイッチには、シーソーのように動作するロッカー・アクチュエータがあります。このスイッチングのメカニズムは、アクチュエータの一方を下げると他方が持ち上がるという2つのポジションの間で行われます。これにより、基本トグルスイッチのもう一つのバリエーションを作ることができます。
キーDIPスイッチの仕様
メーカーが提供するデータシートには、各DIPスイッチに関する重要な性能および仕様情報が掲載されています。この情報は、特定のアプリケーションに最適なDIPスイッチを選択するために不可欠です。ポジション数やアクチュエータの種類などの明らかな仕様だけでなく、注意すべきその他の仕様もいくつかあります。
仕様 | 代表的な仕様 | 説明 |
---|---|---|
マウント | サーフェスまたはスルーホール | サーフェスマウント型DIPスイッチはPCBに適しており、一方、ブレッドボードにはスルーホールバージョンが使用されます。 |
終端スタイル | ガルウィング、アングルド・ガルウィング、Jフック・ガルウィング、PCピン、圧着PCピン | さまざまなマウントオプションに対応します |
定格電圧 | 2.4 ~ 50Vdc | デバイス全体での最大電圧。定格電圧には、多くの場合スイッチング電圧と非スイッチング電圧の両方が記載されています。スイッチング定格は、アクチュエータがあるポジションから次のポジションに移動する時を示します。非スイッチング定格は、アクチュエータが固定位置にある時を示し、一般的にスイッチング定格よりも高くなります。 |
電流定格 | 10 ~ 200mA | デバイスを通る最大電流 |
ピッチ | 1~2.54mmまたは0.039~0.1インチ | ピンとピンの間の中心間距離 |
IP定格 | 定格または非定格 | DIPスイッチには湿気や埃の侵入に対する耐性があります |
選択したDIPスイッチが、設計上の性能基準に一致することを確認することが重要です。DIPスイッチを仕様の範囲外で使用すると、アーク放電や自己溶接などの問題が発生する可能性があります。また、このデバイスの性能が低下したり、動作不能に陥ることもあります。
DIPスイッチのアプリケーション
DIPスイッチは、数十年にわたってさまざまなアプリケーションで使用されてきています。これらは、スマートホームや工場での実装前にデバイスを迅速に事前構成または再プログラムすることでダウンタイムを最小限に抑える簡単な手段として、IoTデバイスでも新たな用途で使用されています。DIPスイッチの最も一般的なアプリケーションには、次のようなものがあります。
- ガレージドア・オープナーのプログラミング
- リモコンのプログラミング
- PC拡張カードまたはマザーボード上のオプションの構成
- 簡単なユーザー構成による、IoTネットワークへの新しいアイテムの追加
- 機器の電源投入を必要としない産業機器の構成の確認
結論
DIPスイッチは、電子システムの特性を変える簡単な方法としてまずは導入されました。これにより、製造中やユーザーによる構成の変更が可能になりました。その後、ソフトウェアスイッチとユーザインターフェースが進歩することで、このような一般的な用途で使用されることは減りましたが、低コストで使いやすいのため、さまざまな電気機械装置に今だに適しています。
DIPスイッチとその利用可能なバリエーションを理解することで、このようなアプリケーションでは、特定機能を実行し、他のマッチングデバイスと通信するようにデバイスを構成できます。