触覚スイッチ 101

Jeff Smoot/著

触覚スイッチ 101

最も基本的な意味では、電気スイッチとは電流をオンまたはオフにする装置です。もしこれがスイッチに関して知っておくべきことのすべてだったら、話は簡単です。しかし、電気スイッチには、数千ものスタイル、サイズ、定格があり、さらに多数の機能、仕様、フットプリントがあります。

触覚スイッチとは?

「触覚スイッチ」は、一般的にユーザーが装置に圧力をかけたときに電気回路を完成させて広く使用されているスイッチの一種で、ユーザーは、電流の流れを示す、知覚できる「クリック」または触覚バンプを反応して得る。スイッチを放すと電流がオフになります。より短い定義としては、触覚スイッチは、タッチでその動作が知覚できる瞬間的動作装置です。この実体のあるフィードバックがユーザーに、スイッチが動作し、信号が流れたことを保証します。触覚スイッチモデルもあり、スイッチを押すと電流がオフになり、手を離すと再びオンになります。これらの「ノーマルクローズ」の触覚スイッチは、Same Skyでも販売しています。

一般的な触覚スイッチの例
典型的な触覚スイッチの2つの図面の例

このタイプのスイッチは、1980年代初頭に、キーボードやキーパッド用のメンブレンまたはスクリーンプリントされたスイッチとして始まりました。1980年代後半にスイッチ設計の一環として、金属製ドームを備えたデバイスが導入されるまでは、このスイッチは触感的なフィードバックに欠け、性能が低かったためすぐに抵抗されました。このドーム型デザインは、触感的なフィードバックとより堅牢な作動方式を提供し、さらに寿命も長いものでした。今日、触覚スイッチは、何千もの商用および消費者デバイスで入力デバイスとして広く使用されています。

触覚スイッチとプッシュボタンスイッチ

触覚スイッチには、そのネーミングが、プッシュボタンスイッチと呼ばれることが多いという点で、ユーザーの混乱が生じている可能性があります。プッシュボタンスイッチは、アクチュエータが押されたときに回路内の電流の流れを許可し、指定された移動距離を進んで、再び押したときに電流の流れを停止するように設計されています。プッシュボタンスイッチは、パネルまたはプリント基板(PCB)に直接取り付けることができます。ブッシュボタンスイッチの詳細については、プッシュボタンスイッチ101ブログをご覧ください。

一方、触覚スイッチは、アクチュエータが押された状態で保持されたときに電流が流れることを許可し、解放されたときに電流の流れを停止する、あるいはその逆のことが起こります。このアクチュエータの移動は最小限です。これらは「瞬間的動作」スイッチと呼ばれ、プッシュボタンは一部が瞬間的ですが、触覚スイッチはすべて瞬間的です。触覚スイッチは、通常、プッシュボタンスイッチよりもはるかに小さく、設計上、電圧と電流定格が低いことがよくあります。また、オーディオや触覚に基づくフィードバックも提供し、PCBに直接取り付けるように設計されています。

触覚スイッチの特徴とメリット

触覚スイッチは、製品のユーザー認識を向上させることができる重要かつ有用な機能を提供します。まず、瞬間的な回路嵌合を提供します。スイッチが押されると電流がオンになり、スイッチが放されるとオフになります。また逆の場合も同様です。これにより、コンピュータのキーボードで行うようにデータ入力を高速化し、モーター制御キーパッドのように、必要に応じて連続動作が可能になります。

次に、そしてこれは最も重要なのですが、触覚スイッチはオペレータに触覚的および聴覚的フィードバックを提供し、スイッチが作動して電源が回路に流れていることを確認します。また、コンピュータのキーボードの場合と同様に、入力機能に満足のいく物理的な「感覚」を提供し、入力漏れや入力不足も示すことができます。

三つめは、触覚スイッチは通常、比較的低い電力および電流定格で動作します。これにより、生産コストが削減され、低電圧のデバイスやシステムにうまく適合します。電圧が低いほど、接点でのアーク放電も少なくなります。

最後に、触覚スイッチは、可動部品が非常に少ないため、通常他の機械式スイッチよりも長持ちします。これにより、基板に直接取り付けて使用でき、修理のために取り外すことを心配する必要はありません。これは、他のスイッチタイプと比べて製品で使うときのコストが安いということも意味します。

基本的な触覚スイッチの構造と操作

触覚スイッチは、そのシンプルさが魅力の製品で、目的の機能を満たすのに非常に限られた数の部品だけを使用しています。基本的な触覚スイッチの設計には、通常、一番大きいコンポーネントを含む4つの部品、すなわち、スイッチをPCBベースに接続するための端子や接点を含む成形型樹脂ベース(4)が組み込まれています。

基本的な触覚スイッチの構造
異なる触覚スイッチコンポーネントの分解図

アーチ形状のコンタクトドーム(3)がベースにフィットしており、力を受けると変形したり、形が反転したりします。このプロセスは、触覚スイッチの可聴的で触覚的なクリックを作りだします。このドームは、屈曲時にベース内の2つの固定接点を接続し、回路に電力を供給します。動作の力が除去されると、ドームは元の形状に戻り、回路が遮断されます。このドームは、必要な触覚的および可聴的なフィードバックの量に応じて、金属かその他の材料で作られます。

プランジャー (2)は、コンタクトドームの上にあり、押されるとドームが曲がってスイッチを作動させます。プランジャーは、金属やゴム、その他の材料でできており、製品全体のニーズに応じて平らだったり、隆起した突起があったりします。プランジャーとコンタクトドームで使用される材料の種類によって、クリック触覚の感触や音も決まります。

プランジャーの上にはカバー(1)があり、スイッチの内部機構を保護します。このカバーは、スイッチの使用目的や必要な保護のレベルに応じて金属かその他の材料で作成できます。特定のカバーには、静電気放電から保護するための接地端子をつけることもできます。

触覚スイッチの仕様

製品に適した触覚スイッチを選択することは、単に製品データシート上の仕様を評価するプロセスというわけではありません。触覚スイッチの持つ「感触」と「音」によって、製品全体の品質に対するユーザーの知覚に影響を与えることができます。この知覚は、定量化が難しい場合があります。スイッチの起動に必要な力と、ユーザーが感知する触覚フィードバックは、アプリケーションに合ったものである必要があり、消費者製品から工業製品までさまざまです。

多くの場合、実際のスイッチを試作品でテストすることによって、そのスイッチの特性をアプリケーションに対して一致させるというようなやり方が賢明です。例えば、自動車のスイッチは、車両の振動が引き起こす入力エラーを回避するために、より多くの作動力が必要になるでしょう。プリンターや消費者向けゲーム製品で使用されるスイッチは、それほど感度が高くなくても良いかもしれません。もちろん、いずれの場合も、スイッチは製品の寿命に渡って確実に機能しなければなりません。

とは言え、触覚スイッチには、以下のような多くの設計上の仕様が存在します。

  • 電圧定格:(定格電力とも呼ばれる)スイッチが開時または閉時に耐えられる最大電圧を示します。触覚スイッチの電圧定格は一般的に低く設定されています。
  • 電流定格:スイッチが損傷を受けずに扱える最大電流をアンペアで表したもの。
  • 起動力:(動作力とも呼ばれる)スイッチ上のアクチュエータを移動するために必要な力または圧力(グラム力またはgfで表される)の量。
  • たわみ:(アクチュエータ移動量とも呼ばれる)押し下げられたスイッチの全体的な移動距離。
  • 接触力:スイッチが端子に接続して電力を流すために必要な力、または圧力の量(グラムで表示)。
  • アクチュエータの高さ:スイッチ本体でのアクチュエータの高さ。
  • ライフサイクル範囲:通常の動作条件下でのスイッチの予想存続時間。
  • 温度範囲:スイッチが仕様通りに動作する温度範囲。
  • マウントスタイル:スルーホールまたはサーフェスマウントのいずれかでPCB上にスイッチを取り付ける方法。
  • IP定格:スイッチ(またはその他の製品)の粉塵や液体の侵入に対する保護の程度を分類する国際規格。
一般的な触覚スイッチアクチュエータの高さの例
2.5mmから最大17mmまでの、触覚スイッチのさまざまなアクチュエータ高を示す画像

触覚スイッチの種類

触覚スイッチは、標準(またはオープン)または密閉の2つの主なタイプがあります。標準タイプの触覚スイッチは、ほこり、ガス、水などの外部要素から密閉されていません。密閉タイプは、過酷な環境条件で中の部品を埃や水の侵入から保護する機械要素を備えています。

現在入手可能な触覚スイッチには、次のような種類があります。

  • 円形/正方形/長方形
  • フラッシュ
  • 照明付き
  • ミニチュア
  • マイクロ
  • ライトアングル
  • ロングストローク
  • 5式
  • スイッチアレイとキーパッド

触覚スイッチの配線方法

触覚スイッチには通常4本のピンがあります。このピンは内部で2つのセットに接続されています。4ピンを使用する目的は、デバイスが回路基板に取り付けられているときの安定性を提供するためです。配線をおこなう際は、技術的には2本のリード線を使用するだけで十分ですが、このペアが中で接続されていることを認識しながら、可能な限りすべてのピンを使用することが推奨されています。2ピンのみの触感スイッチも販売されています。また、5ピンの触覚スイッチもあり、これは非常に小さなパッケージでジョイスティックのような制御が可能です。

典型的な触覚スイッチのピン構成
触覚スイッチとその一般的なピン構成のトップビュー

触覚スイッチのアプリケーション

小型で薄く、長寿命の触覚スイッチは、さまざまなタイプの消費者製品や工業製品での多くのニーズに適合します。代表的なアプリケーションには、次のようなものがあります。

  • キーボードやキーパッド
  • リモートコントロール
  • ゲームコントローラー
  • 電話
  • おもちゃ
  • 楽器
  • ノートPC
  • 電化製品
  • セキュリティ電化製品
  • 産業用制御
  • 電気・電子機器
  • ポータブル機器
  • 医療機器

小型のフットプリント、軽量性、耐久性を備えた触覚スイッチを採用した新しいアプリケーションには、ウェアラブルテクノロジー、スマートボディアーマー、ボディカメラなどがあります。

結論

触覚スイッチは、製品に低電力、瞬時動作の電力制御やデータ入力が必要な場合、触覚的および聴覚的フィードバックが望ましい機能である場合に、賢い選択肢となります。Same Skyは、コンパクトなパッケージ、様々なアクチュエーター高さ、複数の構成オプションを備えた触覚スイッチ製品のラインアップを取り揃えております。

本投稿に関するコメント、または今後当社で取り上げるべきトピックはありますか? blog@sameskydevices.com にメールでご連絡ください
Jeff Smoot

Jeff Smoot

バイス・プレジデント(エンジニアリング担当)

2004年にSame Skyに入社して以来、Jeff Smootは製品の開発、サポート、市場投入に重点を置いて、同社の品質管理およびエンジニアリング部門を活性化してきました。顧客の成功を第一に考えたJeffはアプリケーション・エンジニアリングチームの立ち上げを主導し、設計プロセスにおけるエンジニアに対し、現場やオンラインでのエンジニアリング設計・技術サポートを強化しました。仕事以外では、アウトドア(スキー、バックパッキング、キャンプ)を楽しみ、妻や4人の子供と共に時間を過ごします。そしてJeffはずっとデンバー・ブロンコスを応援しています。